アルゼンチン国内で最も一人当たりの平均所得が高いブエノスアイレス市にはおよそ20の 貧民街が位置します。皆を包括することを理想に掲げる民主主義政権下では考えられないような生活状況にあります。もちろん市街整備が行われた貧民街もありますが、十分ではありません。上下水設備が完全ではない、一部屋に大人数が住む過密状況の住宅など理想には程遠い現状です。 去る5月17日、NPO ラ・ガルガンタ・ポデローサのリーダーの1人、ラモーナ・メディナさんが新型コロナウィルス感染症で亡くなりました。その数日前、メディナさんが住んでいた、ブエノスアイレス市に位置する貧民街31番地区では浄水が不足していると告発したばかりでした。 貧民街は住居内・住居間の過密状況、非衛生な生活状況で感染リスクに最も晒されています。住民の正確な人数はオフィシャルな統計には反映されてはいませんが、その増加は指数関数的なものとなっています。 ロジャー・ウォーターズさんはアメリカで60年代、市民権利運動で歌われた We shall overcome の新バージョンを アルゼンチンの貧民街で生活する人々の顔となった1人の女性を讃える賛歌として捧げました。 メッセージを英語・字幕スペイン語でご覧ください。   日本語訳・ナレーション: 植田敬子 制作: シルバーナ・アベジャネーダ ウェブサイト: フリアン・コルテス

新型コロナウィルス感染症COVID-19とアルゼンチン

ブエノスアイレス市に位置する貧民街の1つ、推定7万人以上の住民がひしめく31番地区「カルロス・ムヒーカ神父」で、社会及び経済的格差による新型コロナウィルス感染症拡大の予防における違いがかっきりと出ました。 予防策が最優先事項となるのは快適に日常生活を送るのに不便がない人たち、そして貧民街と言われる、上下水設備が不完全で、3メートルx3メートルの部屋に最高で11人の人々が住む、非正規雇用の労働者が大半とされる、全ての生活側面が脆弱な地区では予防策は後手に回り、新型コロナウィルスのパンデミックは容赦なく襲いかかってきました。 31番地区は新型コロナウィルス感染症の患者数の指数関数的な増加により可視化されました。同地区の住民、 清掃者、メンテナンス担当、とび職、路上販売者の姿は毎日目に入るのに。   https://cdn.radionacional.com.ar/wp-content/uploads/2020/05/Edit-Japones.-Villas.-mp3.mp3     このことについて アルゼンチンの最初のコミュニティチャンネル、31番地区に拠点を置くウルバーナTVのダイレクター、ミルシーアデス・ペーニャさんにお話を伺いました。ブエノスアイレス市内には20の貧民街があり、31番地区はその中でも最も大きく、市内の新型コロナウィルス感染症患者の10人に4人が貧民街の住民となっています。 ミルシーアデス・ペーニャさんの肉声でお聴き下さい: 「この貧民街は4年間に渡った前政権の社会的弱者を徹底に痛めるネオリベラル政策により、衛生、食糧、住居や教育の問題は急激に重症化したのち、パンデミックに襲われた。 全世界で感染は進んでいる。致死率も高い。貧民街に新型コロナが侵入した場合、大変なことになるのは分かっていた。予告されていた死が実際に起こってしまった。」   日本語訳・ナレーション: 植田敬子 インタビュー・制作: ラウレアーナ・ルビネッティ ウェブサイト:フリアン・コルテス 総編集:シルバーナ・アベジャネーダ 31番地区リポートと上空写真 (2017) https://www.youtube.com/watch?v=sgm8GMDFzBI ウルバーナ TVのリンク […]

この日曜日、5月31日、タンゴ歌手、大衆音楽アーティストとして知られる オマール・モージョ が “ダッチ・タンゴウィーク”で、 ホアン・パブロ・ドバルのピアノと共に、ストリーミングでコンサートを行います。 アルゼンチン時間で午後4時から4時半まで(UTC時間19:00〜19:30)と午後5時から5時半まで (UTC時間20:00〜20:30)の2回にわたって行われてます。 アルゼンチン国営ラジオ放送局のアレハンドロ・ポント・レシーカ代表とRAEラエ世界に向けてアルゼンチンよりリスナーのみなさまにお知らせ: @omar.molloにコンタクトしてください。  

5月革命から210年

アルゼンチンにとって5月25日は大きな意味を持っています。バルタサール・イダルゴ・デ・シスネーロス スペイン副王が権力を握っていたラ・プラタ河流域スペイン副王制度が倒され、初めてのアルゼンチン自治政府樹立となった記念日です。5月25日までの一連の歴史的出来事は5月革命として知られています。 1810年5月25日、アルゼンチンが国家として誕生し、その独立を勝ち取ったのは6年後、1816年の7月9日のことです。 以上の理由で、この月曜日は祝日で全国でお休みとなっています。アルゼンチン国営ラジオは5月革命一色の放送を送ります。ラエ、世界に向けてアルゼンチンのリスナーの皆様もラエとアルゼンチン国営ラジオ AM放送が一本化されているので 、ストリーミングでAM放送を www.rae.com.ar でお聴きになれます。 午後2時から4時 (UTC時間17時から19時)までMCグスターボ・カンパーナさんで、インタビュー、この歴史的事実の重要性を示唆する、記憶に残るオーディオ資料や様々な社会現象をお伝えします。 また、「ラ・プラタ河を震撼させた5日間」というタイトルのラジオ・シアターも放送されます。脚本アレハンドロ・スティルマン、監督ノラ・マッシで、自宅隔離・外出禁止となっている現在、俳優陣は各自の家からデジタル・プラットフォームを通じてそれぞれのセリフを録音しました。出演したのはクラウディア・ラパコー、エクトル・カロイ、キケ・ぺソアなど、スター揃いの俳優陣で、アルゼンチンのラジオ・シアターの歴史上はじめてのバーチャル劇場となります。  

アルゼンチン中央放送管理局 ENACOMのグスターボ・ロペス代表はソーシャルネットワークWHATSAPPのグループで、通信・放送の現状やその重要性について言及しました。 ロペス代表は弁護士で、国立ブエノスアイレス大学総事務長を務め、1999年から2001年までENACOM前身の連邦放送監査委員会の監査人として任命を受けました。 ラエ、世界に向けてアルゼンチンのアドリアン・コロル代表とのインタビューで、グスターボ・ロペス代表は既存のメディアは台頭して来ているテクノロジーに滅ぼされると言われてきた ラジオ放送の存在の重さを強調しました。 ロペス代表の肉声でお聴き下さい。   https://cdn.radionacional.com.ar/wp-content/uploads/2020/05/Edit-Japones.-Lopez.-mp3.mp3     「ラジオには他のメディアにはないミステリーがある。読書に声を加えるようなものだ。例えば、思い出すのは、短波放送を通じて世界を知りたかった時、様々なラジオを聴きながら何が起こっていたのかわかったこと。素晴らしい思い出だ。」 日本語訳・ナレーション: 植田敬子 インタビュー: アドリアン・コロル ウェブサイト: フリアン・コルテス 制作: シルバーナ・アベジャネーダ

コミュニケーションアプリのwhatsapp (ワッツアップ)のグループでラエ、世界に向けてアルゼンチンのアドリアン・コロル代表は、ニコラス・トロッタ教育大臣に話しを伺いました。 新型コロナ感染症 COVID―19の感染拡大を防ぐため全国の教育機関は休校となっている現在、授業続行のためインターネットやメディアを通じ生徒たちに様々な科目のコンテンツが届けられています。広大なアルゼンチンではインターネットもラジオもテレビも無い場所もあります。色んな環境の中、教師や生徒たちは奮闘しています。 トロッタ教育大臣の肉声でお聞き下さい:   https://cdn.radionacional.com.ar/wp-content/uploads/2020/05/Edit-Trotta.-Japones.-mp3.mp3   「社会全体が取り組んでいる授業続行のための様々な課題の効果は生徒達が学校に戻ってきた時に見えてくる。教育格差が出ないと考えるのは無理なことで、パンデミック終焉の後は、全てに格差がでてくる。 どのような対応のキャパが出せるのか、社会全体、国がどれだけ早く回復できるのか、それが岐路となる。」   日本語訳・ナレーション: 植田敬子 スペイン語インタビュー: アドリアン・コロル ウェブサイト: フリアン・コルテス 制作: シルバーナ・アベジャネーダ

マウリシオ・マクリ前政権からアルベルト・フェルナンデス現政権への政権移行の真っ只中であった2019年の下半期、全国で記録された貧困層は35%から38%に増加していました。 そんな社会的危機事態の時、新型コロナ禍となりました。この状況下、社会・経済的展望は決して明るいものではありません。アルゼンチン経済の大きな分野を占める非正規雇用に与える影響は甚大です。 ラエ、世界に向けてアルゼンチンとのインタビューで、アルゼンチン・カソリック大学社会オブザーバートリー責任者のアグスティン・サルビア氏は 現在のショック状態は全国の貧困指数を悪化させるであろうと語りました。 サルビア氏の肉声でお聞き下さい:   https://cdn.radionacional.com.ar/wp-content/uploads/2020/05/Edit-Japones.-Pobreza.mp3   「今回のパンデミックはショック状態を引き起こしている。昨年の第4四半期には既に35%となっていた貧困率、今年に入ってさらに上昇し、新型コロナ禍による外出禁止令で更に増加しているであろう。物価、収入、雇用、特に非正規雇用などの指数を緻密に分析する必要があるが、貧困率は最低でも35%から38%になり、外出禁止が続くとみられる期間と以降の2、3ヶ月間で貧困率は40%台に到達するであろう。」   日本語訳・ナレーション: 植田敬子 インタビュー・制作: シルバーナ・アベジャネーダ ウェブサイト: フリアン・コルテス

1977年4月30日、ブエノスアイレス市内の5月広場に集った母親のグループがありました。ある日突然武装部隊に捕まり、忽然と行方不明になってしまった息子・娘を探す母の姿がありました。 アルゼンチンは当時 自国の歴史の中で最悪の軍事独裁政権、1年目にありました。3万人の行方不明者を出し、健康、教育、住居や雇用など多岐にわたる生活を支える社会の分野の弱脆化を引き起こし、現在までその影響が続いている多額の対外債務を残しました。 1977年のあの日の午後、広場に集まった母親達のグループの行進をやめさせるため、警察は 「ぐるぐると回れ」と命じます。恐怖心を乗り越え、国全体を覆っていた沈黙を破るため、二人づつ腕を組んでペアで広場で歩き始めました、円を描きながら。 毎週木曜日、広場をぐるぐるぐるぐる回る、円形行進は軍事独裁政権に対する勇気のレジスタンスのシンボルとして全国でも行われる様になっていきました。その中にはアスセーナ・ビジャフロールの様に恐怖政治の被害者として命を落とした母もいれば、行方を捜して再会叶わず亡くなった母もいました。 ノラ・コルティーニャと同じく今でも、平等、正義と言論の真実を失った社会の道しるべとして、何事にも代えられないプライスレスの人間の尊厳を旗印とし 人権闘争を現役で続けている母もいます。 歴史に残る1978年オランダテレビが5月広場の母達をインタビューした際の録音。当時既に「5月広場の狂った女達」として知られていた。   https://cdn.radionacional.com.ar/wp-content/uploads/2020/04/Audio-Madres-Plaza-de-Mayo-mp3-1.mp3     日本語訳・ナレーション: 植田敬子 制作: シルバーナ・アベジャネーダ ウェブサイト: フリアン・コルテス

新型コロナウィールス感染と平行して静かに進行しているもう1つの感染病があります。ヤブカ属のネッタイシマカという蚊が媒体となる感染病、デング熱病です。最悪の場合は死に至ります。 アルゼンチン媒介感染症コントロールセンターの アドリアン・ガロ代表は 現在南米南部では4年ごとに発生するデング熱病感染のピークを迎えていると語ります。 が、アルゼンチン北部やブエノスアイレス市南部の密集住居地ではデング熱病の感染患者が指数関数的に増加しましたが、2016年に記録された7万6千件数と比較すると、今回は大幅な低下が見られると指摘しています。 今回見られる感染は国の中心部、首都のブエノスアイレス市からは離れており、またマスメディアも地方のニュースより欧州のニュースに重点を置いて放送しています。 ガロ代表は 昨年12月より現在までのパラグアイでの21万3000件の感染患者数、ボリビアの7万6000件、ブラジルの73万件 と比べると、昨年の7月から現在まで記録された4万4000件という アルゼンチンの現状は 世界保健機構のリポートと照らし合わせると、他の南米諸国と比べると格段にいいものとなっていると述べています。 このことについて ブエノスアイレス市のフリアン・アトマン感染症専門医は 早期の診断と治療の重要性を際立たせます:   https://cdn.radionacional.com.ar/wp-content/uploads/2020/04/Edit-Dengue-Japones.-mp3.mp3   「重要なのは赤血球と白血球の検査で全てがわかるということ。そしてデング熱病が流行っていて、感染した人がデング熱病が流行しているブラジル、パラグアイ、またアルゼンチンのミシオネス州に滞在していたという事実が分かっている場合は 気をつけねばならない。アルゼンチンでは6月から11月までは蚊が発生する季節ではないので安心して大丈夫だ。ブラジル、ボリビア、パラグアイでは年間デング熱病は流行している」 アルゼンチン媒介感染症コントロールセンターの アドリアン・ガロ代表は現在デング熱病が猛威を振るっているのがブエノスアイレス市、ブエノスアイレス州、サンタフェ州、サルタ州、フフイ州とチャコ州、アルゼンチン北部と北西部となっていると述べています。 国立ブエノスアイレス大学の研究者グループによると、媒体の蚊が、季節に順応しており、デング熱病は季節に関係なく1年を通じて定着する病気に なっている。この熱病を防ぐには、 蚊が発生しないよう、水が溜まる場所や物を排除し、駆除剤を撒き、密集地を避けるということに気をつけなければいけない、と注意を促しています。 日本語訳・ナレーション: […]

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